小坊主
前回のお話は湛海律師が生駒山に入山当初は大変苦難をされたお話だったけど覚えてる?
湛海律師、生駒山に入山当初は大変苦難をされた
今回のお話は、湛海律師御自筆『霊感記』下巻より 湛海律師が生駒に移り住んだ当初、大変苦難されたという...
湛海律師
吹き抜ける寒風は身を刺し通し、 弟子たちも粗末な薄着をまとっているのみで、縄床の周りに寄り添い、あるだけの衣類を身に着けて夜を明かすような毎日が続いた。
女性
というのが、とても辛そうで印象に残っています。今回はその続きですね。
小坊主
1679年、延宝七年の正月元旦を迎えた。
女性
5代目徳川綱吉に変わる数年前ですね!
小坊主
湛海律師に弟子の妙道が障子を隔てて、
小坊主
「お師匠さま(湛海律師)はつねづね一食しか召し上がられませんが、今朝は元旦の朝でございます。里より餅が届きましたので、雑煮にいたしました。ぜひとも召し上がって下さい」
小坊主
と言ったんだって。
女性
湛海律師は毎日1食しかお食事されていなかったんですね。
女性
で、お雑煮召し上がられたんですか?
小坊主
湛海律師が念誦をやめて次の間に出てみると…
女性
えっ?出てみると?
小坊主
障子越しにお声がけしていた弟子の妙道がそのまま弁財天に、弟子の清心は大黒天のお姿に変わったんだそうだ。
湛海律師
二人とも人の体をした真天に見えたので、大黒天と弁財天、二天の給仕をお受けしている心地がして、心丈夫に思えた。
湛海律師
弁財天は当山の鎮守さまであるので、もっともなことであるが、
湛海律師
大黒天は昔江戸の永代寺に居住していた時に、供養をいたしたことがあるゆえ、私は忘れて去っていたが、天はお捨てにならず、今の艱難(かんなん)を哀れんでお見えになったと思えた。
小坊主
大黒天様のことはすっかり忘れて去っていたんだ…
女性
もう、本当に不動明王様一筋って感じですね…
女性
で?湛海律師は大黒天様と弁財天様お二人の豪華なお給仕でお雑煮を召し上がられたんですか?
小坊主
残念。そこの描写は記されていないんだよな~
女性
え~・・どんなお味がしたのか是非教えて欲しかったです~。
女性
で、どうなったんですか?
湛海律師
このようにしているうちに、二天の御方便なのか、三日の朝早くに大阪の理左衛門という人が、
湛海律師
私が生駒の山に移り住んだことを伝え聞いて、様子を見がてら、いろいろの美味しい食べ物を持って山に来られ、三、四日も御馳走にあずかった。
女性
大坂の日下利左衛門一法さんからの差し入れ、ありがたいですね。
小坊主
冬、生駒は寒いし、雪は降るし、お正月なのに食べるものがなくては修行に身も入りませんからね。
女性
美味しいものが食べられてよかったですね。
湛海律師
また、家老の梶金平からも食物や、弟子の分までの衣などが届けられた。
湛海律師
さらに、家老の梶金平が手配して内壁も塗っていただけたので、まずは事なく日々を送ることができるようになった。
小坊主
あぁ、やっと内壁が塗られたんですね。今まで寒かったでしょうね~。
女性
本当に良かったですね~。
湛海律師
そのうえ、里からも、大勢の人が、供養にとわずかばかりの物を届けてくれる。
女性
里からの施しは本当にありがたいですね。なんとか冬が越せそうですね。
湛海律師
これらのことはすべて、諸天がお救下さっていると思えた。
女性
本当にそうですね。
湛海律師
しかし、屋内の床には荒莚(あらむしろ)の外は敷物もない。
小坊主
それはそれは寒いでしょうね…
湛海律師
その後、庄屋の朴木の隠居が上敷きを三枚送ってくれた。
女性
あぁ、良かったですね~。少しは寒さが凌げましたか?
湛海律師
しかし、六年の間は畳もなく、ただ荒莚だけを敷いて過ごした。
女性
ご苦労されたんですね…
小坊主
ということで次に続きます!
合掌
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湛海律師と弟子たち木果を味わい楽しむ
小坊主 前回のお話は湛海律師がお正月に弁才・大黒二天に給仕していただくお話だったけど覚えてる? 小坊...
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