このお話は、村木 幸次郎さんが泉庄太郎先生の伝記をまとめられた『泉聖天尊』より 抜粋引用した泉庄太郎先生と聖天様のお話です。
小坊主
前回は泉先生のお父上がお亡くなりになった時のお話だったけど、覚えてる?
『泉聖天尊』より泉先生の信心なお父上の大往生
このお話は、村木 幸次郎さんが泉庄太郎先生の伝記をまとめられた『泉聖天尊』より 抜粋引用した泉庄太郎...
小坊主
泉先生は讃岐の津田から大阪に移ってきたのが、
小坊主
明治29年頃。
小坊主
それから明治49年頃まで約16年間大阪住まいをされたんだ。
男性
棺桶屋さんでしたよね。
小坊主
そう。
小坊主
そして、悲しいことが立て続けに起こったんだ。
男性
お身内を亡くされたんでしたよね。
小坊主
うん、大阪に移ってきてから、5年間の間に
小坊主
お母さん、妹、お父さんを亡くされたんだ。
男性
本当に立て続けですよね。
小坊主
そして日露戦争も起こった。
男性
それでなくても、全国でもまたとない程美しい
男性
瀬戸内海を見晴らせる津田の松原で、
男性
漁師をされていた泉先生が、
男性
ゴミゴミした大阪の店暮らしに大変化、更に悲しい出来事が立て続け。
小坊主
でも、こうした生活の大変化の中で、
小坊主
泉先生は人生の裏も表も十分に見極められたんだそうだよ。
小坊主
そして、なんとかして人助けがしたいと思いが強くなっていったんだって。
男性
それで、どうされたんですか?
小坊主
讃岐で屋島に近く天そそり立つ五験霊峰を仰いで、
小坊主
麓の八栗聖天さんに若い時から繁々と泉先生はお参りしていたと記されていただろ?
男性
そうでしたね。
男性
信心深いご両親の影響か、先生もとても信心深いと記されていましたよね。
小坊主
で、人助けの悲願心が燃えるにつれて、
小坊主
泉先生は、特に生駒の聖天さんに魂が惹かれたんだって。
男性
生駒の聖天様に呼ばれたんですね!
小坊主
そうなんだろうね。
小坊主
そして、600遍の生駒聖天参りが始まる。
男性
その頃って、大阪から生駒までのお参りは大変だったんでしょうね。
小坊主
うん。しかもほとんど草鞋履きだったらしい。
小坊主
そして、夜をかけての徒歩参りだったんだって。
男性
お仕事を終えてから、お参りされていたんですか?
小坊主
そうなんだ。
小坊主
家業は家業として励みながらのお参りだったそうだよ。
男性
仕事をしながら、徒歩で、しかも草鞋履き。
小坊主
唯の発願だけでは到底お参りを続けることは出来なかったと思うよね。
小坊主
先生の住んでいた南堀江から生駒の宝山寺へは直線距離で約6里と記されていますね。
男性
1里が約4kmだから、24km。
男性
1キロメートルを徒歩で進むと、12分30秒かかるとどこかに書いてあったので、
男性
24kmだと、単純計算で5時間。
小坊主
直線距離での話しだし、草鞋履き、しかも山道ということを
小坊主
考えるとその倍ぐらいはかかったのかもしれないね。
男性
ひゃ~~。大変ですよね・・
小坊主
泉先生がお参りしていた頃は生駒山のトンネルが無い時代だしね。
小坊主
大阪からは裏山越えでお参りされていたという話だよ。
男性
本当にやると決めたらやるという覚悟が凄いですね。
小坊主
お参りで、山を登っていくと、
小坊主
表参道を7合目まで登った右の谷合いに般若の滝があり、
小坊主
左へ入ったところに不動の滝があるんだって。
小坊主
先生はこの両方のお滝をいただかれたらしいよ。
男性
このお参りにお供したことがある親戚のお話が記されていますよね。
小坊主
うん、先生は、牡丹雪がしきりと落ちる滝壺で、
小坊主
お唱えしながら長い間お滝をいただかれたんだとか。
小坊主
これだけでもお参りの真剣さが伺えるよね。
男性
山の水はそれでなくても冷たいのに、牡丹雪が舞ってる時にお滝ですか…
小坊主
宝山寺では年中無休で浴油祈祷をされているんだけど、
小坊主
600遍のお参りの間にはこの浴油祈祷のひそやかな鈴の音が
小坊主
幾度も先生には聖天様の「みこえ」として聞こえたんだそうだよ。
男性
聖天様からのありがたい不思議体験ですね。
小坊主
まだまだ不思議体験があるんだ。
小坊主
お参りが度重なるにつれ、「あぁありがたい」という不思議な出来事が起こったんだそうだよ。
男性
聞きたいです!
小坊主
ある時は、お参りに出発して、まだいくらも経たない時に
小坊主
生駒の御鳥居が見えて来たんだって。
男性
それで?
泉先生
ハテ…と目をこすると、聖天様のお声がして、
聖天様
「真心はうけたぞ。今宵は出張ってきた。家に急用が出来ている。すぐに引き返せ。」
泉先生
と仰るから、
泉先生
「はい」
泉先生
と素直にかしこんで帰り着くと、その通り急用があったんだ。
男性
急用が在るから、今日はもう帰っていいよと!
男性
なんとお優しい!!!
小坊主
まだあるんだ。
泉先生
このような霊験に益々励まされて、いよいよ600遍参りの御山にかかった時のこと。
男性
わ~とうとう600遍目ですね!
泉先生
私に向かって、さも勿体ないと言う風に、一人のおばあさんが手を叩いて拝むんだ。
泉先生
どうやら自分の方を向いて拝んでいるから、何か後ろにでもと、振り返って見たが何もない。
泉先生
そこで、
泉先生
「おばあさん、何を拝んでいるのですか?」
泉先生
と尋ねるとびっくりしたように
おばあさん
「あぁあなたは人間でしたか。」
おばあさん
「今あなたのお身体から御光がさしておりましたから、」
おばあさん
「テッキリ神様じゃ。と思って私は拝んだのでございます。」
小坊主
と答えたんだって。
男性
後光がさしてたんだ。凄い!
小坊主
先生は恭恭しく、
泉先生
「あぁ、誠にありがたいことでござんすなぁ。」
泉先生
「私は唯の人間じゃのに、私があなたにそんなに見えたのは、」
泉先生
「あなたのお徳が高いからでしょう。」
泉先生
「ヤレ有り難い有り難い。」
小坊主
と口ずさみながら聖天堂に向かったんだ。
小坊主
すると、
聖天様
「もうこれで、山へ通いつめんでもよろしい。」
聖天様
「これから生まれ故郷の津田へ帰って、人を助けて渡せ。」
小坊主
という世にも有り難いお言葉をハッキリと聖天様から頂いたんんだって。
男性
そりゃもう、泉先生の感激は例えようも無かったでしょうね。
小坊主
そして、この瞬間から、先生の心も魂も暮らしもすっかり変わってしまったというんだ。
男性
変わったんですか?
小坊主
うん。
小坊主
ありがたいことに、先生にとって生駒の聖天様が育ての大親となられ、
小坊主
先生はその天尊の尊いお子として生まれ変わったというんだ。
男性
凄いですね!
小坊主
うん。そして、この頃から先生は口で聖天様のお言葉を喋り、
小坊主
身で聖天様の仕事をして、
小坊主
思いは、大慈大悲の御霊徳からの思いになられたんだそうだ。
男性
もう神様ですね。
小坊主
そうだね。聖天様から泉庄太郎、泉先生は選ばれたんだ!
小坊主
時に先生は50の坂を越えたばかりの頃だったそうだよ。
小坊主
次回は津田に戻ってのお話です。
小坊主
お楽しみに~
合掌
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泉先生,いつとはなしに泉聖天さん
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