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七草と粥有十利

七草
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僧侶様の法話

執筆者:瑞鳳天祥

さて、正月七日は、七草ですがで御座います。

七草とは、元々は、五節句の一つの【人日の節句】の行事の一つで正月の食事で疲れた身心を整え春の七草を戴く事で春の気を体内に取り込み無病息災を願う行事ですが…。

少し詳細をお話すると七草を刻む際、七草囃子を唄いながら刻むもので一例を挙げて見ますと【七草、薺、唐土の鳥が渡らぬ先にストトントン…。】と囃す訳で御座います。

「唐土(とうど)」は、「もろこし」「から」とも読み、昔、日本から中国を呼んだ言葉で、此処での「唐土の鳥が日本の土地へ渡らぬ先に」等の言葉は、大陸から鳥が疫病を持って来ない内に、又、農耕に悪さをする鳥を追い払うという意味も込めているものと思われます。

【唐土の鳥】と言われる中国の鳥は、【 鬼車鳥(きしゃちょう) (きしゃどり)】と言われる鳥で、「ふくろう」の属とされる頭が九つの怪鳥で御座います。
鬼車鳥は夜になると飛び回り、人家に入ると凶事が有り幼児に祟りをすると恐れられました。

又、人の爪を好むとされこの言い伝えが、「夜爪を切るな」という俗信の根拠の一つにもなっているとも言われて居ります。

要するに六日の夜から七日の朝に掛けて七草を刻みまな板を叩く音で鬼車鳥を追い払い七日の朝に其の粥を戴く事で無病息災を願った訳で御座います。

さて、お粥繋がりのお話と成りますが禅宗の僧堂での朝食は、必ず粥と決まって居り【粥(しゅく)】【浄粥(じょうしゅく)】と呼ばれ一日の命を紡ぎ活力を与える薬とされます。

余談ですが彼のお釈迦樣も苦行林餓死寸前の所を村娘のスジャータが捧げた乳粥を戴かれ悟りへの活力を得られたと云われて居ます。
因みに某コーヒーメーカーの社名も此の村娘の名前から来て居るそうですが…。
お話が逸れましたが粥には、香と共に十の功徳が有るとされ【粥有十利(しゅうゆうじり)】として今に伝わって居ります。

【粥有十利】は、曹洞宗の宗祖である道元禅師自身が【摩訶僧祇律(まかそうぎりつ)】と謂う仏典より僧堂に赴いて朝食の粥や昼食の飯を頂く作法を【赴粥飯法(ふしゅくはんぽう)】という著書に示しました。

其の中には、曹洞禅に於ての食事作法の根本意義を始め、実際の作法に付いて事細かに順を追って説明が成されて居り中でも【粥】に付いても細かい記述が見られます。

仏の教えの中にお粥に付いて細かく述べられるのは、何だか不可思議ですが、厳しい修行の中で”粥”を戴く事が生命を維持し身心を調えるのに重要な薬なのだと分かります。

さて、粥には十の功徳が有るとされますが粥を食べて十の良いこととは

一【色】体の血色が良くなり

二【力】気力を増し

三【寿】長命となり

四【楽】 食べ過ぎとならず体が安楽

五【詞清財】言葉が清く爽やかになり

六【宿食除】前に食べたものが残ず胸やけもせず

七【風除】風邪を引かず

八【飢消】消化よく栄養となって飢えを消し

九【渇消】のどの渇きを止め

十【大小便調適】 便通も良いとされます。

謂わば粥は、身心を調える事に適した食事で其の事から七草粥の行事が生まれのかも知れませんね

基本的に粥は、生米から炊く事が重要で土鍋等で時間を掛けて炊いた方が味も栄養価も良いと言われます。

皆樣も飽食の現代、毎日とは、言わずも七草粥始め日々の生活に粥を取り入れて見ては、如何でしょうか…。

天祥 九拝

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法話

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