お盆と言えばご先祖様ですが、最も近いご先祖様と言えば親です。親は子から敬われる立場にあるべき存在ですが、それは子に敬われるような背中を見せた親だけにある立場です。一部とは言え世の中には子から敬われるどころか、軽蔑されるような親が存在します。これは昔々に私の祖母が鑑定した女性の実話です。
たった一人の子供が生まれた数年後に、夫を亡くした女性がいました。その女性は子供が小さい頃に『当たる』という評判を聞いて、神通力者かつ霊能者であった私の祖母に『親子の行く末』を鑑定しに来たそうです。
その時に祖母が言ったことは『この子は、大きくなったら、あんたから離れて行くよ!』という言葉でした。それからというもの、母親は祖母の言葉を忘れること無く、子供を育てたそうです。
子供が大きくなり社会に出ようとした時も、子供から『都会に行きたい』と言われたら、当時の祖母の言葉を思い出し、猛烈に反対しました。そうして女性は、絶対に子供を離すこと無く、常に近くにおいていました。
ここまで言えば、凄く良い母親に思えるかもしれませんが、この母親には、人間としての性格に、大きな問題がありました。その代表的なことと言えば『自己中・我欲・愚痴文句・ヒステリー』でした。
自分の思いや考えと違う人間には、直ぐに愚痴文句を言い、ヒステリーを起こし、攻撃するような人間でした。それでも自分が正しいのなら良いのですが、多くの場合が『妬み・被害妄想』でした。他人が聞けば首を傾げるような意味不明なことで、ヒステリーを起こし当たり散らします。それは他人のみならず自分の子供に対しても同じでした。
それでも子供は『親』という既成事実だけを理由に、理解できない理不尽なことでも、自らが折れ謝っていました。そんな子供もやがて結婚をし子供が出来ました。
そもそも自分の子供にさえ理解し難いヒステリーを起こす母親ですから、嫁や孫に対しても性格は同じでした。そんな親に対し子供は遂に見切ったのです。
自分に酷いことをするのは『親』という既成事実を理由に我慢できても、妻や子供に対する酷い行動は許せなかったのです。それでも初めは我慢に我慢を重ね、『親だから』と妻を説得し、『おばあちゃんだから』と孫を説得していましたが、それもやがて限界に達したのです。
ある時、子供の心から『親』という存在が消えました。そうは言っても親を憎んでいるのでは無く、親として敬う心が冷めてしまったのです。
もうおわかりですね。
この女性が昔に祖母から『この子は、大きくなったら、あんたから離れて行くよ!』と言われた言葉、これは子供が都会に行ったり、海外へ行ったり、身体が遠くへ離れて行くという意味じゃなく、子供の『心が離れる』という意味だったのです。
この世に生まれてくる子は、万人が純真に生まれて来ます。そして子は、親の背中を見て育つので御座います。子が親を敬うか否か、それは親が子から敬われる親であるか否かであり、全ては親次第であると言えるのです。
この母親が『子が自分から離れるのは心だったのか』と気付き祖母のところに訪れるも、時既に遅しであったこと言うまでも御座いません。
なかなか心複雑な話ですが、これから子を持つ親の、参考になれば幸いです。
合掌
皆様からのコメントお待ちしております。