このお話は、村木 幸次郎さんが泉庄太郎先生の伝記をまとめられた『泉聖天尊』より 抜粋引用した泉庄太郎先生と聖天様のお話です。
小坊主
前回はあまがえるのお話だったけど覚えてる?
泉先生の不思議なお話14-あまがえる、とまった処の色にすぐ変わる
このお話は、村木 幸次郎さんが泉庄太郎先生の伝記をまとめられた『泉聖天尊』より 抜粋引用した泉庄太郎...
女性
もちろん!本日のお話は?
小坊主
村木さんの友人、彦はんと呼ばれていた沖野さんのお話!
泉先生、不思議なお話15
へらこい沖野はん
小坊主
お腹をこわしきって、困り抜いていた沖野彦十郎さんが、
小坊主
村木さんの勧めで、泉先生の処へ行った、沖野さんの思い出話の一節です。
女性
沖野さんは、彦はんと呼ばれていたんですよね。
小坊主
そうみたいだね。
小坊主
本日は、その彦はんが語り手です。ではどうぞ!
彦はん
その当時、泉先生の処には、朝から夜は10時頃まで、人がつめかけておった。
彦はん
順番が来んので、宿をとる人が沢山あった。
彦はん
次々と拝んでもらっておるのを聞いておると、
彦はん
みな、こきみよいほど当たる。
彦はん
拝んで、諭される先生の言葉の節と、言葉付き。
彦はん
遠回しにおっしゃって、やがてきゅっと締めくくられるそのお手際。
彦はん
勘のとろい者には、何べんでも、言葉を変えて、しまいには、とっくり納得させられる。
彦はん
側で聞いておって、面白くて堪らん位に、先生は何でも分かるのであった。
彦はん
皆さんは、さらりと、重荷を下ろし、ほっと安心して帰って行くのであった。
彦はん
夕食後は、座談であったが、先生のお話上手なこと。
彦はん
夜は、町中から、人々がそれを楽しみにして、聞きに押し寄せてきた。
彦はん
いつも賑やかであった。
彦はん
私は40日の間、かかさず朝眼が覚めたら、詣ってゆき隅の柱にもたれて、夜遅くまで、じいっと、見たり、聞いたり。
彦はん
何しろ面白くて、その上為になるので、毎日かかさず通った。
彦はん
この様子をずうっと見て居られた先生が、ある日のこと、
泉先生
「沖野はんは、へらこいなぁ。」
彦はん
と私を見て笑われた。
女性
へらこいとは?どの様な意味ですか?
小坊主
へらこいというのは、ずる賢いとか、ずるいとか言われているけど、きっとここでは、要領がいいという意味合いで使われて居るんじゃないかな?
女性
あぁ、そうなんですね。
彦はん
面白おかしく聞いて居って、一つ一つと悟りが開けていった私であった。
彦はん
先生が、へらこいと仰ったのは、もっともなことである。
小坊主
そうやってじぃ~っと聞くことで、悟りが開けていったから、要領がいいと言われたんじゃないのかなぁ..
女性
あぁ、きっとそういう意味で仰られたのですね!
彦はん
最初、私を拝んで下さった時、先生が、
泉先生
「内方には、とんぼゆうたお神さんがあるのぅ。」
彦はん
私は心の中で「(とんぼゆうた)は昔の男の髪の結い方じゃ。
彦はん
これは人間を神に祀ってあろうが、とのお尋ねらしいが、わからん。」と思った。
彦はん
そこで「思い当たりませんが。」と言うと、先生は、
泉先生
「ご先祖はんを、神さんに祀ってはないか。」
泉先生
「この人が、がいに(しっかりとの意味)護ってくれとるぞ。」
小坊主
と仰られたそうなんだ。
彦はん
私はこれでハタと思いついた。
彦はん
私の家では、先祖の死後、200年経つと神とし屋敷内に祀るしきたりであった。
彦はん
この事を手初めとして、先生は詳しく長い間の因縁をお解き聞かしになり、
彦はん
又、お祈りも頂いた。
小坊主
ここで、泉先生は、彦はんの過去の因縁話などをされたんだね。
女性
視えるんですよね。
彦はん
そして、そのお陰で私の病気も本復した。
女性
そういえば、お腹をこわしきっていて、先生を訪ねて来られたんでしたよね。
小坊主
治って良かったですよね。
彦はん
ところで、先生は字をお書きにならん。
彦はん
私は百姓じゃが、字を書くのが好きであった。
彦はん
先生のお唱えを覚えようとして、人から私に書いてくれる様にとしきりに頼まれた。
彦はん
一番初め先生のお唱えの音を字で表す時には、本当に苦辛したものである。
彦はん
一通書き上がると、それを見て次々と頼まれ、沢山の人に書いてあげた。
女性
それは、喜ばれたでしょうね。
彦はん
先生には、随分お世話にもなり、又、可愛がっても頂いた。
彦はん
いつも村木の旦那と一緒であった。
彦はん
津田への行き来。方々へのお参り。夜をふかしての信仰座談。
彦はん
全く、長い年月の間の思い出は尽きない。
彦はん
そして懐かしい。
彦はん
何とありがたいご縁だろうと、いつも感謝している。
小坊主
と書かれて居たよ。
女性
泉先生や村木さんととても親しくお付き合いされていたんですね。
小坊主
そうだね。
女性
泉先生の処には、本当に沢山の方が助けを求めて押し寄せていたんですね。
小坊主
なかなか順番が来なくて宿を取るくらいですからね。
小坊主
今回のお話はここまで。
小坊主
では、次もお楽しみに~
合掌
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