このお話は、村木 幸次郎さんが泉庄太郎先生の伝記をまとめられた『泉聖天尊』より 抜粋引用した泉庄太郎先生と聖天様のお話です。
小坊主
前回はお祭りの夜更けにはまいるなというお話だったけど覚えてる?
津の峰まいり。お祭りの夜更けにはまいるな
このお話は、村木 幸次郎さんが泉庄太郎先生の伝記をまとめられた『泉聖天尊』より 抜粋引用した泉庄太郎...
女性
もちろん!本日のお話は?
小坊主
泉先生遂に山へのお話!
泉先生遂に山へ
龍野はん、阿波へ来るのは最後じゃ。
小坊主
丁度、大正7年の春4月のお話。
女性
大正7年というと、全国各地で米騒動が起こった時代ですね。
女性
何があったのですか?
小坊主
泉先生は息子さんの弁さんが急病の時、願掛けされた御礼まいりを、津の峰さんでお参りをされて、その帰り、
小坊主
龍野さんの処へ寄って、一泊されたんだ。
女性
そうなんですね。
女性
龍野さんも、よく津田に来られた時は先生宅で寝起きされていたと書いてありましたもんんね。
小坊主
その時、先生が龍野さんに、
泉先生
「阿波へ来るのは、これで最後じゃ。」
泉先生
「私が頂いているおかげそのままに、お前さんにもなぁ。」
小坊主
と仰られたんだ。
小坊主
あまりにも意外なお言葉に、龍野さんは、内心びっくりして、そっと村木さんに知らせたんだって。
女性
で?どうされたんですか?
小坊主
村木さんと沖野さんは、早速龍野さん宅へかけつけたんだ。
小坊主
すると泉先生はゆっくりと村木さんの手から数珠を取られて、
小坊主
深い御祈念を込められる時のいつもの面差しで、その数珠をご自身の右手におかけになったというんだ。
小坊主
そして、先生は何か口ごもられた。
小坊主
その瞬間に村木さんに、
村木さん
「あぁ、有り難い。」
村木さん
「こうして先生は私はもとより、家族をもらさず、一人一人を、沢山の数珠玉が、一本の糸で、一つに繋げられて居るように、これでありがたい御縁に離れぬ様に、しっかりと先生がつなぎ合わせて下さった。」
小坊主
という、感謝感激の思いが、こみ上げてきた。というんだ。
小坊主
すると、先生は、
泉先生
「あぁ、よかった。これでよい。」
小坊主
と仰ったんだって。
小坊主
それから、貴いみたまを、村木さんの数珠に込めて、返された。
小坊主
というんだ。
人力車4台で、大坂峠越え
小坊主
然し、此の数珠つなぎの神秘といい、
小坊主
龍野さんに先刻そっと洩らされたお言葉といい、
村木さん
思い合わせて、もしかしたら、これが阿波への御最後かと、唯、悲しく、お顔をまともにお見上げ出来なかった。
小坊主
と村木さんは言っておられる。
小坊主
村木さん、龍野さん、沖野さんの3人は、言わず語らずながら、同じ思いで、
村木さん
「今日は人力で、津田迄お送りしよう。」
小坊主
と、人力車を4台連ねて、車上から、大声で話しながら、ゆるゆる津田までお送りした。
小坊主
と言っておられる。
村木さん
終に、これが阿波へ来られる最後となったのである。
女性
あぁ、やっぱり…準備をされているのが分かってなんだか辛いですね。
小坊主
今回のお話はここまで。
小坊主
では、次もお楽しみに~
合掌
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