今回のお話は、湛海律師御自筆『霊感記』下巻より 湛海律師が聖天様からお誘いを受ける場面です。
前回は湛海律師が初めて聖天様のお姿を拝見するというくだりでしたが、
今回は湛海律師が聖天様から『自分の眷属になるように』というお言葉、お誘いを受ける場面のお話なんだ。
それは、初めて聖天様のお姿を拝見してから、後に見た夢の中でのお話。
今回は、お姿を現して会話をしたのではなく、夢の中でのお話なんですね?
そう。湛海律師は、お告げなど、夢の中で授かることが多かったみたいだね。
どんな夢だったのですか?
夢の中で湛海律師は、自分の衣服を作っていたんだ。
すると、全ての衣服が天人の持っている衣類のようになってしまうというのだ。
天人の持っている衣類ってどんな衣類なんでしょう?
薄い生地でふわふわした、天女の羽衣的な衣類なのかな?
湛海律師はそれまでも神仏様が現れる夢を何度も見ておられるので、
神仏様が身につけておられた衣類のようだとおっしゃっているのかもしれないね。
あぁ・・そういうことですね。
で?衣類が天人のようになってどうなったんですか?
その時聖天様が現れて、
おまえは自分の従者になると誓約せよ、 さすれば、おまえが求めている願を、すみやかに成就させてやろう
と仰ったんだ。
それで?湛海律師はどうお答えになったのですか?
聖天様のそのお言葉を受けて湛海律師が、
出家をして修行に励むのは、
本来、 悟りを得るためです。
天尊の従者になれば、
すみやかに悟りの境地に至ることができるのですか?
どうですか?
と聖天様に聞いたんだって。
湛海律師が20年かかると言われた大願は、
悟りの境地に至ることなのでしょうか?
きっとそうだろうね。
どうしても悟りを得たい!
悟りの境地に至りたい!
というのが願いなんだと思うよ。
湛海律師ってなんだか改めて、凄い。
で、どうなったんですか?
すると、聖天様が、
そのような悟り云々のことは、自分は知らぬ。
ごたごたいわずに我が眷属となれば、
おまえはこの世での願いがすべて叶えられるのだ。
そのうえ、来世では超人的な神通力を得て、
思うがままにその力を駆使させてやろうとしておるのに、
何の不足があるのか?
このように言われたんだ。
凄いですね。
この世での願いがすべて叶えられるって。
私なら、このありがたいお言葉を受けたらもう涙がとまりません。
そうだね。でも…
聖天様のそのお言葉を受けて湛海律師は、
今ただちに神通力を得ることができるのであれば、
こんなにすばらしいことはありません。
しかし、死して後に、そのような力を身につけても、
何の楽しみがありましょうか?
いや、何もないではありませんか。
と、そのように答えたんだって。
まぁ、確かに。
今欲しい力かもしれない。
で?聖天様はなんとお答えになったの?
それを聞いた聖天様は、
おまえは、死後にこだわっているが、
死後というのは、ただ古い衣を脱ぐようなもので、
その心は今と少しも替わるものではない。
と、そのようにお答えになったんだ。
死後の世界をさらりとお答えになってますね。
肉体=古い衣。死ぬと肉体から魂(=心)が離れ、
死んで後も魂(=心)は今と少しも変わるところがない。
ということでしょうか。
なんだか凄いことをさらりと教えて下さってますよね。
そうだね。死んでも心(=魂)は
今と少しも変わらないなんて素晴らしい!
本当ですね!で?
聖天様のそのお言葉を受けて湛海律師が、
そうであれば、天尊と同じように、
大神通力を自由自在に使うことができるようになるのですか?
どうですか?
と尋ねたんだ。
聖天様を目の前に少しも動じず、自分の聞きたいことを述べる姿は、
大物!という感じですね。
そうだね。湛海律師だからこそって感じだよね。
で?どうなったんですか?
聖天様は、
自分のような大神通力は、
長高山の頂上で心静かに瞑想をして、
一千年の間禅定を勤めて、
はじめて成就することができるのだ。
とお答えになったんだ。
そのお言葉を受けて湛海律師が、
そんなに長い間、瞑想をしなければならないのであれば、
私のような者は成就することは不可能です!
と答えると、聖天様が、
おまえは知らないから、そのようなことをいうのだ。
禅定に入って一千年を経ることは、
眠っている間に少しばかりの夢を見るようなものだ。
と、そうお答えになった。
というところで、この場面は終わってるんだ。
結局、湛海律師は、聖天様からお誘いには
乗らなかったということなのでしょうか?
そうだね、まだ決めかねてるという感じだね。
それは、悟りを得ることが叶うわけではないからですか?
それとも、神通力を今すぐ得ることが出来ないからですか?
どうなんだろうね。
ところで、お話に出てくる
長高山って実在する山なんですか?
どうなんだろうね…
あれば行ってみたいね
。
でも、頂上で静かに瞑想は出来るかもしれませんが、
『一千年の間禅定を勤め』は人間業では無理ですから…
でも、聖天様にとっては
『眠っている間に少しばかりの夢を見るようなもの』
なんだよな。
では今回のお話はここまで。
次回は湛海律師が聖天様に疑念を抱く場面をお届けします!
合掌
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