小坊主
前回のお話は山内荒廃のお話だったけど覚えてる?
山内荒廃のこと
小坊主 前回のお話は湛海律師が湛聖天様の功徳を断るお話だったけど覚えてる? 女性 もちろん...湛海...
女性
もちろん!
女性
湛海律師が聖天様の功徳を断ったので、山内が荒れ、人も散り散りになっていなくなったというお話でしたね。
小坊主
1688年、貞享5年5月、十万枚の護摩供を期して湛海律師は閉関に入られたのですが、閉関中は、山内や世俗のことで、耳に入らないことも多かったんだ。
湛海律師
座禅の合い間にいろいろと考えてみた。
湛海律師
閉関修行とは申せ、そば粉をも口にしていては、所詮、人の助けを受けていることになるではないか…、
湛海律師
自分一人で悉地成就を期するのであれば、諸天のお助けも、頼む弟子がいなくなっても、あれこれと考えたり、苦にすることもないとの結論に至った。
湛海律師
このように心に決めたからには、前々から私淑していた役行者が、葛城山での修行中に、松葉を食した故事に倣い、
湛海律師
十日ばかり松葉を食したところ、松葉が腹の中で一つに塊り、便として外に出すことがままならず、
湛海律師
三日三晩、死の苦しみに悶え、肛門は破れ裂けて血が流れ、衣類を汚し、穴の周囲は大きく腫れあがり、座禅をするのにも困難な状態となった。
女性
私淑(ししゅく)とは、尊敬する人に直接には教えが受けられないが、その人を模範として慕い、学ぶこと。ですよね。
女性
湛海律師は私淑する役行者が葛城山での修行中に松葉を食したという昔から伝わっているいわれに倣(なら)って、同じように松葉を食べたら、とんでもないことになってしまったのですね。
小坊主
松葉は食べれます。というレシピ記事も多くありましたが、湛海律師は、本当に大変でしたね。
女性
それで?どうなったのですか?
湛海律師
頃は11月下旬の頃で、寒風が吹き荒れ、寒さは身を切るように冷たい。
女性
生駒、本当に寒いんですよね。
湛海律師
満足に食事も採っていないので、体力も衰えて思いのままにならない。
女性
大丈夫ですか?
湛海律師
外に出て凍りついた氷を砕き、汚れた衣類を洗い清め、座に上って不動明王に向かい、呪を誦し念じていると、たちまちに痛みもなくなり平癒した。
女性
わ~もう水も凍っていたのですね。
小坊主
それでも、衣類を洗い清める。
小坊主
そして、お不動様のお力ですっかり治ったなんて、本当に奇跡ですね。
女性
よかった。それから、どうなったのですか?
湛海律師
もともと、光明院には弟子の僧も来ないようにしていたが、一人の弟子の僧が、命をかけての修行が、気がかりになって、見回りのために奥の院に登ってきたのだ。
小坊主
苦労している様子を見て、「ぜひとも、そば湯なりともお飲み下さい」と、強く湛海律師にお願いしたんだって。
湛海律師
私は心の中で、今これらの食を口にすることは、自分の意志に反し、まことに遺憾なことではあるが、
湛海律師
また、松葉を食べて便通がなくなることを考え、
湛海律師
ただひたすら断食をして命を落としても、これまた、思いを達することにならないと考えて、
湛海律師
仕方なく、そば粉を練って食事に当てることとした。
小坊主
あぁ、よかった。そうです。何か口にしないと、命を落としかねません。
湛海律師
このような間にも、聖天の障礙によるのか…
湛海律師
金平も隠居となって封禄のない身となるなど、懇ろにしていた人々がみな不幸せになってしまった。
女性
懇ろ(ねんごろ)とはとても親密な付き合いをしているさまを表す言葉ですね。
小坊主
そうですね。皆不幸に…
湛海律師
その後、自分の考えをまとめてみると、
湛海律師
自分は生身の平凡な人間であり、そのうえ、いまだ呪のはたらきを身につけてはいない。
湛海律師
それに反して、聖天は尊い方である。
女性
そうですよ~♡
湛海律師
今までの考えは、聖天のお心を拒否するようなものである。
湛海律師
ここは悔い改め、許しを請うに越したことはないと思った。
女性
あぁ、湛海律師とうとう、聖天様と和解するんですね。
小坊主
越したことはないとは、それ以上のものはない・それが理想的ではあるという意味ですから、それが最上のことと理解されたのですね。
湛海律師
ある日、供養をして心のうちで懺悔し、つぎのように聖天様に謝罪をした。
湛海律師
聖天様は、広大無辺の慈悲を持っておられるので、私をお捨てにならなかったのです。
小坊主
そうですね。広大無辺の慈悲ですから、地球上の全ての命に対しての慈悲というかんじでしょうか…
湛海律師
だから、前には種々のお諌め(いさめ)をいただきましたが、悟りを得ようとする心を捨て去ることができず、天尊のお諭しに従わなかったのです。
女性
そうでしたね。でも、ひとえに悟りが得たい一心でしたね。
湛海律師
そして、世俗の名利を離れ、食味を棄てて行に励んだ結果、世俗の幸福などは、空に浮いている雲のように、空しいものであると思うようになりました。
湛海律師
今は天尊を謹み敬うことは、昔と比べるとおろそかになっておりますので、天罰を蒙り、不運に見舞われていますが、これも致し方のないことでございます。
湛海律師
天尊は大日如来の権現であり、私は凡夫です。
湛海律師
いかに浴油供を行して供養をしていると申しましても、このような少々のお勤めで、こと足りるとされましょうか、いや、私は絶対にそうは思っておりません。
湛海律師
先には、私の弟子を代理として供養もいたしました。
湛海律師
情け深い聖天さま、どうか哀れみを垂れてお許し下さい
湛海律師
と、謹んで懺謝いたしましたところ、私の心のうちに直接お答があり、
聖天様
「許す」
湛海律師
と宣われた。
女性
お許しがでた~~
小坊主
良かったですね~~
湛海律師
その後はつつがなく平穏を得て、修行に励むことができた。
小坊主
続きもお楽しみに~
合掌
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