今回のお話は、湛海律師御自筆『霊感記』下巻より 湛海律師が生駒に移り住んだ時、もともとの鎮守だった弁財天女を入山させたという場面です。
小坊主
前回のお話は湛海律師が生駒で夜叉と格闘したお話だったけど覚えてる?
湛海律師,生駒山で夜叉と格闘
今回のお話は、湛海律師御自筆『霊感記』下巻より 湛海律師が生駒に移り住んだ時夜叉と格闘したという場面...
女性
確か、弁財天女様は、湛海律師が生駒山に移り住んですぐに夢に出てこられたんでしたよね?
湛海律師
弁財天女が白い小袖を召し、手桶を持って水をお汲みになり、私を接待なさろうとされるご様子で、何なりと仰るようにいたしましょうと申されるようにお見受けした。
小坊主
と湛海律師が記されています。
女性
で、夜叉と格闘して、実はその夜叉が岩舟大明神だったんでしたよね。
女性
岩舟大明神は湛海律師の心のうちをご覧になりたかったんだというお話でしたよね。
小坊主
今回のお話は、その後のお話。
小坊主
里人たちが山に登って来て湛海律師に言ったんだ。
小坊主
お山の鎮守は弁財天女さまでございます。
小坊主
御社は昔から代々引き継ぎ伝え、お姿も盗難を恐れて、里の 神主の家で、お厨子に入れてお護りいたしております。
小坊主
しかしながら、少し前のことでございますが、お厨子の内で鉦を打ち鳴らす音がしきりに聞こえてまいります。
小坊主
これは、和尚様がお山にお見えになったことを、天女さまがご存じである証しであろうと、村人たちが集まると話をしておりますので、お山にお運びいたしてはどうでしょうか?
小坊主
といいますと、湛海律師が、
湛海律師
まずは、里の方でそのままにしておいてくれ、よい時期が来たらお迎えいたしましょう。
小坊主
と言ったのに、すっかり忘れてしまっていたんだ。
女性
忘れちゃったんですか?もしかして、弁財天女様怒っておられます?
小坊主
そうなんだ…里人たちがふたたび生駒山に登ってきて、
小坊主
またまた、お厨子の内でしきりに鉦の音がいたします。
小坊主
恐ろしうございますので、早くお山の方へお迎え下さい。
小坊主
これは天女さまが、一刻も早くお山に迎えてほしいとの思し召しと、お見受けいたします。
小坊主
と言ったんだって。
女性
で、湛海律師はどうされたんですか?
小坊主
とにかく、弁財天女様のお姿を受け取って、仏壇に入って頂き、ホッとして、そのまま又忘れていたんだ。
女性
えっ?受け取ったけど、仏壇に入れて、そのまま、又忘れてたの?
小坊主
うん、そうこうしていると、 湛海律師に、
湛海律師
「頂に樹々が生い茂った般若の岩に、お社を上げるように」との、弁財天女からのお告げがあった。
女性
で、すぐにお社を上げたんですか?
小坊主
いやいや、
湛海律師
しかし、岩屋にお上げ申そうとしても、修行に忙しく励んでいるので、その時間も取れず、
湛海律師
それでは、少しお待ちいただこうと思うと、腹が激しく痛み出す。
湛海律師
これはいかなることかと不思議に思ってみたが、よくよく考えてみると、これはまさしく天女のお催促であろう。
女性
そりゃ、そうでしょう。早く上げてさしあげて下さい!!!
湛海律師
早くお上げいたそうと思うと、たちまちに痛みが治る。
湛海律師
また引き延ばそうと思うだけで、腹が痛み出す。
湛海律師
このようなことが三度も続いたので、御社を今ある般若窟の中ほどにお移し申し上げた。
小坊主
・・・
女性
よかったけど、三度も放っておいたの?
小坊主
湛海律師らしいじゃない!修行第一!修行ファーストだから…
小坊主
次もお楽しみに~
合掌
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