仏教では、『人間は生まれ変わる。』とされています。
またそれは人間だけじゃなく、猫や犬や鳥や虫なども生まれ変わるとされています。
そして、今世が人間に生まれたからといって、来世も人間で生まれてくるとは限りません。
今世の人間が来世で虫になることがあれば、今世の虫が来世で人間になることもあるのです。
もちろん今世での行いなどによって、それ以外に生まれ変わることもあります。
その指針となるのが『六道輪廻(ろくどうりんね)』という仏教の世界観です。
他の類義語として、『転生輪廻(てんしょうりんね)』とか『流転輪廻(るてんりんね)』という言葉もあります。
生まれ変わる世界は6通りある
我々人間が次に生まれ変わる世界は全部で6通り御座います。
その6通りの世界は、次の通りです。
一、天道(てんどう)
一、人間道(にんげんどう)
一、修羅道(しゅらどう)
一、畜生道(ちくしょうどう)
一、餓鬼道(がきどう)
一、地獄道(じごくどう)
以上の6通りです。
それぞれの世界を簡単に説明します。
天道
天道は天人の世界です。
天人とは、人間よりも上の位に位置する存在であるが故に、人間よりも寿命は長く、苦しみも無い(ほとんど無い)とされている世界です。
更に天人は空を飛ぶことが出来るなど、人間には決して無い力を得ており、その生涯を楽しく過ごすことが出来る世界だと言われています。
しかし、決して煩悩から解放されたわけでは御座いませんし、仏教に出会うようなことも無いとされています。
天人は人間より遥かに寿命が長いとは言え、いつか必ず死を迎える時が訪れます。
そして、次に生まれ変わる世界が、また天道とは限らないのです。
人間道
人間道は、我々人間の世界に御座います。
今このブログを見ている読者様も皆が人間道に生まれたのです。
この人間道という世界は、天道と違い、悩み苦しみが大きい世界に御座います。
但し、悩み苦しみが多いとは言え、楽しみもある世界に御座います。
更に人間道の利点としては、他の世界と異なり、唯一仏教に出会う可能性がある世界なのです。
そして、次に生まれ変わる世界が、また人間道とは限らないのです。
修羅道
修羅道は、阿修羅の世界であります。
修羅道は争いの世界であり、怒りにまみれ戦う、苦しみの世界に御座います。
そして、次に生まれ変わる世界が、また修羅道とは限らないのです。
畜生道
畜生道は、牛や馬など畜生の世界であります。
この世界に生きる畜生は、本能だけで生きておるが故に、自分の力では仏の教えを得ることが出来ない世界であり、救いの無い(少ない)世界とされています。
そして、次に生まれ変わる世界が、また畜生道とは限らないのです。
餓鬼道
餓鬼道は、餓鬼の世界であります。
餓鬼とは、書いて字の如く、餓えた鬼のことであります。
餓鬼が何か食べ物を口に入れようとすると、全てが火に変わってしまい、常に餓えと渇きに悩み苦しみます。
そして、次に生まれ変わる世界が、また餓鬼道とは限らないのです。
地獄道
地獄道は、罪を犯したものが、その罪を償わされる、地獄の囚人となる世界であります。
絶望的でしかない、苦しみしかない、そんな世界に御座います。
そして、次に生まれ変わる世界が、また地獄道とは限らないのです。
解脱
これまで話した通り、この6通りある世界を、繰り返し生まれ変わるというのが、六道輪廻です。
今は有り難くも人間道を生きる我々人間も、この今世での意識や行動によって、次に生まれ変わる世界が結果として決まります。
例えば・・・
この今世で誰かの命を奪えば、次は地獄道に生まれ変わる可能性が高まります。
この今世で我欲に溺れた場合、次は餓鬼道に生まれ変わる可能性が高まります。
この今世で恨み妬みを抱けば、次は畜生道に生まれ変わる可能性が高まります。
しかし、このように六道輪廻を繰り返していたら、いつまで経っても苦しみのある世界から抜け出すことが出来ません。
そこで仏教の教えで悟りを開き、六道輪廻というサイクルから抜け出し、浄土という仏様の世界へ行くことを、『解脱(げだつ)』と言います。
この仏様の世界は、何ら苦しみの無い世界であり、そこに行くことが出来たならば、二度と生まれ変わることも無いので、完全に苦しみから解放されることになります。
これ正に『極楽浄土』ですね。
多くの者が解脱したいと考え、悟りを開くために修行するも、それを成し遂げるのは稀な者であり、その多くが、つい悪行してしまったり、つい煩悩に溺れてしまったりし、また六道輪廻の何処かの世界に生まれ変わるのが運命であると言えるのです。
そして人間は、この六道輪廻の世界にある苦しみから救いを求め、神仏様に祈るのです。
更に言えば、人間道に生まれた我々人間だけが、唯一仏法に出会い『解脱』することが出来る可能性を秘めているのです。
六道輪廻は人々の心の中にある
これまで話したことは、全て生まれ変わりの話しです。
しかし、この六道輪廻は繰り返し生まれ変わる世界の話にあらず、今を生きる人々の心の中にあるのだと解釈する考えが御座います。
例えばですが、親が居ない、子供が居ない、友達が居ない、恋人が居ない、家族が居ない、食べ物が無い、飲み物がない、仕事がない、お金がない、健康がない、その他、この世は地獄だと心で感じている人間が居ます。
そんな人間にとっては、この今世こそが、正に地獄道であり、地獄道を生きる人間だと言えるのでは無いかと存じます。
その一方で、今世を地獄道と感じながら生きる人間に対し、救いの手を差し伸べる人間は、正に天道を生きる人間であるかと存じます。
今あなたは、どの世界に生きていますか?
合掌
皆様からのコメントお待ちしております。