このお話は、村木 幸次郎さんが泉庄太郎先生の伝記をまとめられた『泉聖天尊』より 抜粋引用した泉庄太郎先生と聖天様のお話です。
小坊主
前回は泉先生にお縋りして命が助かった中浜亀太郎少年が聖天様の意にかなう人間になる為に八栗聖天参りと険しいお山をする不思議なお話だったけど覚えてる?
泉先生の不思議なお話8-中浜亀太郎①
このお話は、村木 幸次郎さんが泉庄太郎先生の伝記をまとめられた『泉聖天尊』より 抜粋引用した泉庄太郎...
男性
もちろん!本日の②で亀太郎少年のお話は終わり?
小坊主
うん。では2話目いってみよう~
泉先生、不思議なお話8-②
中浜亀太郎-おまいりしたんナ、それとも向こうさんから、きてくれたんナ
小坊主
その日は、とりわけひどい雨の夜だったんだって。
小坊主
それでも夕食を済ませた町の人々とか、よそから泊りがけの信者方など、
小坊主
大勢がいつもと変わりなく泉先生の元へ詣って来られていたんだ。
男性
泉先生人気者ですね。
小坊主
ほんとだね。
小坊主
「さて、今宵はどんなことかしら。」と心待ち顔の会衆に、
小坊主
ゆったりと仲間入りして居った先生のお話が、だんだんと冴えて、
小坊主
皆に面白く聞き取れ、
小坊主
なかなか実もあるので、
小坊主
聞く方も、熱心であるが、見るからに気楽そうだったんだって。
男性
和やかな雰囲気が伝わって来ますね。
小坊主
やがて先生は、聖天様の方へ向くと
泉先生
「皆さんの為に」
小坊主
とリンと一声、
小坊主
忽ちしーんとなる。
小坊主
お祈りのお唱え
泉先生
「帰命天道」
小坊主
が先生のお口からもれそめると、
小坊主
一同はこれに、さわやかにつける。
小坊主
間もなく、「今夜もよかったのぅ。」と大声で話し合いながら、にぎやかに皆帰って行くんだ。
小坊主
亀太郎少年はただ一人居残って居たが、その静けさで、急に寂しくなったんだって。
小坊主
すると、先生が、
泉先生
「さぁ、これからお山じゃ、一人でのぅ。」
小坊主
と亀太郎少年に言われたんだ。
小坊主
雨はまだ降って居た。
小坊主
亀太郎少年は素直に「ハイ。」と言って、傘もささず、雨の中を出かけていったんだ。
小坊主
亀太郎少年はひどい鴨部の長土堤から、やっと志度へ着いた。
小坊主
いつもは、五剣山参りが目当てだから、
小坊主
志度の観音さんは(四国八十八霊場の86番目の札所)帰りに参ることにして居たようなんだが、
小坊主
雨の中を歩いて来たし、まだ降っているので、
小坊主
ほんの一寸、雨宿りさせてもらうつもりで、本堂へ詣ったんだそうだ。
小坊主
そして、そこにあった腰掛けに一休みのつもりで腰をおろしたんだ。
小坊主
ふと感ずる人の気配。
小坊主
おかしいなと思って辺りを見廻す。
小坊主
これはしまった。いい気持ちでうたた寝をしていたんだな。
小坊主
もう夜も明けはなれておる。
男性
雨の中歩いて来たから、疲れて眠ってしまい、朝になって、人が志度寺に入って来たから、その気配で起きたんですねw
小坊主
そうみたいだね。
小坊主
これは大変と、八栗さんの方へ向かって、お詫びをし、
小坊主
八栗聖天へは詣らず、そのままスタスタ歩いて帰り、「先生、只今。」と言うと、
小坊主
先生は、
泉先生
「時にお前は志度寺の本堂の前で、一晩寝て、戻ってきたのぅ。」
泉先生
「志度寺に詣れとは言わなんだ筈じゃが、さてと、八栗さんが、出ばって来て下さったんなぁ。」
小坊主
とニコニコしながら、あっさり言われたんだ。
小坊主
この時ばかりは、どうしてこんなにもよく分かる先生かしらと驚いたんだって。
小坊主
そして、亀太郎少年は、自分もあんな風に分かるようになりたいと思ったんだそうだ。
小坊主
それからは一層素直に、一生懸命に、先生の言われる事を聞いて、信仰に精を出す様になったんだって。
小坊主
そのお陰で、亀太郎少年は、泉先生のように、人さんの為に拝むことが出来る様になったんだって。
小坊主
亀太郎さんは、「思えば有り難い事である。しかし、あの時の先生のお顔はナ、今も忘れられません。と仰っておられたんだって。
男性
泉先生は、亀太郎少年を、聖天様の意に叶う、人助けが出来る人間にお育てになったんですね。
小坊主
そうだね。いわゆるお弟子さんのように、いろいろ教えながら、育てていかれたんだね。
男性
夜の険しいお山を登っての八栗聖天詣りは、その修業だったんですね。
小坊主
そういうことだね。
男性
人助けが出来る力を授かった亀太郎さん、凄いですね!
小坊主
今回のお話はここまで。
小坊主
では、次もお楽しみに~
合掌
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