今回のお話は、湛海律師御自筆『霊感記』下巻より 湛海律師が生駒に移り住んだ時夜叉と格闘したという場面です。
小坊主
前回のお話は湛海律師が生駒に移り住むお話だったけど覚えてる?
湛海律師、般若窟へ出立にあたり聖天様に祈願のこと
今回のお話は、湛海律師御自筆『霊感記』下巻より 湛海律師が生駒に移り住む決意をする場面です。 小坊主...
女性
もちろん!
女性
やめておけという聖天様の忠告があったけど、不動明王と心が通じあっている湛海律師は強行して生駒山に移り住むんですよね。
湛海律師
生駒の山に移り住み、平穏に修行することができますれば、まず第一に天尊の像を作って山の鎮守としてお祀りし、今までのご縁によって浴油供も修します。
女性
と願分を聖天様にしたためて、移り住んだんでしたよね。
小坊主
そうなんだ。
小坊主
湛海律師は、はじめて生駒の山に登ったんだ。
小坊主
そして、ゴロゴロしている散石を取り片つけて、樹の下に、縄床(じょうしょう)と言うんだけど、縄を張って腰掛けを作って、修行を始めたんだけど、その夜夢を見たんだそうだ。
女性
どんな夢を見たんですか?
湛海律師
弁財天女が白い小袖を召し、手桶を持って水をお汲みになり、私を接待なさろうとされるご様子で、何なりと仰るようにいたしましょうと申されるようにお見受けした。
女性
弁財天女さんは湛海律師を歓迎しておられるようですね!
小坊主
それから3~4日も過ぎた頃、湛海律師は縄床に座していた。
小坊主
弟子達は山を下り菜畑の村にでも行ってしまったのか、湛海律師のそばでは姿を見かけない。
小坊主
夕暮れ時になって、黒くて、はなはだ恐ろしい大きな夜叉が現れたんだ。
小坊主
毛髪は鉄の針のように尖り、その肌はごつごつとした岩のようだったんだって。その夜叉が、
湛海律師
いきなり私に組みついていうには、
湛海律師
ここは俺が住んでいる所だ、大昔から俺の山だ。おまえは俺を無理やりに押し退けて住みつこうとしている、 もってのほかだ。早く立ち去れ
湛海律師
と叫びながら私を押し潰そうとした。
湛海律師
その時、心中で、 「南無不動明王」と念ずると、私の力が夜叉の数十倍にもなり、しばらくの間夜叉と組み合っていた。
湛海律師
そこで、私自身が不動明王だと観想すると、いよいよ夜叉は私に叶わないと思ったのか、北の方へ退いた。
湛海律師
そこで北の方へ退いていく夜叉に向かって、 「おまえは何物だ」と言ったが、後をも見ずに逃げ去った。
小坊主
その後、湛海律師は、生駒は岩舟大明神(いわふねだいみょうじん)の山だと聞かされたので、生駒山の北方に、岩舟大明神が御降臨なさった時に、磐の船を留められたという岩舟谷に、人目を避けて参詣したんだ。
小坊主
すると、あの夢で襲ってきた夜叉の肌と、岩舟の岩肌とがたいへんよく似ていることに気がついたんだ。そこで、湛海律師は、
湛海律師
岩舟大明神が、私の心のうちをご覧になりたかったのだ….
小坊主
と、そんな風に思い当たることがあったんだって!
女性
今も立入禁止となっていますが、般若窟には岩船大明神を祀る小社があるんですよね?
小坊主
うん、窟の奥に岩船明神社と弁財天社が今もあるんだよ。
女性
弁財天女さんは最初に出て来られて、湛海律師を歓迎されていたあの弁財天女さん?
小坊主
そういうこと~!次回もお楽しみに~
合掌
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湛海律師が生駒の鎮守、弁才天女を入山させる
今回のお話は、湛海律師御自筆『霊感記』下巻より 湛海律師が生駒に移り住んだ時、もともとの鎮守だった弁...
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湛海律師、般若窟へ出立にあたり聖天様に祈願のこと
今回のお話は、湛海律師御自筆『霊感記』下巻より 湛海律師が生駒に移り住む決意をする場面です。 小坊主...
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