離れたいのに離れられない──その苦しみの正体
「この人と関わるのがつらい。でも、離れる勇気が出ない」。聖天様に仕える聖夫婦のもとには、こうした人間関係のお悩みが日々数多く寄せられます。
友人なのに会うたびに心が削られる。親戚付き合いがつらくて仕方ない。職場のあの人と関わると自分がどんどん小さくなっていく。限界を感じているのに手放せない。
「離れたいのに離れられない」状態には、主に三つの心理が絡み合っています。一つ目は「自分が離れたら相手がかわいそう」という罪悪感。二つ目は「この関係を失ったら自分には何も残らない」という恐れ。そして三つ目は「いつか変わってくれるかもしれない」という期待です。
仏教ではこの状態を「繋縛(けばく)」──自分で自分を縛っている状態と表現します。大切なのは、この苦しみにはちゃんと解決の道があるということです。聖天様(大聖歓喜天・だいしょうかんぎてん)の教えの中に、そのヒントがあります。
聖天様の「和合」は我慢を求めない
聖天様は男天・女天の双身(そうしん)として和合の象徴であられます。しかし、この「和合」とは「何があっても離れるな」「我慢して一緒にいろ」という教えではありません。
聖天様が説かれる和合の本質は「互いの仏性(ぶっしょう)を認め合い、互いを高め合う関係」です。一方が一方を消耗させる関係は、聖天様が教える和合の姿からは離れています。
つまり、互いを消耗させる縁を手放すことは、和合の教えに反するどころか、むしろ和合の教えに沿った行為とも言えるのです。
縁を「切る」のではなく「還す」という考え方
聖天信仰ならではの大切な視点をお伝えします。「縁を切る」という言葉をよく使いますが、聖天様の教えの観点からは「切る」ではなく「還す(かえす)」という表現のほうがふさわしいです。
仏教では全ての縁は因縁(いんねん)によって結ばれたもの。役目を終えた縁は、感謝とともに天に還す。憎しみで断ち切るのではなく、「この御縁に感謝し、ここで一度お還しします」という心で手放すのです。
この「感謝して還す」という心の持ち方一つで、手放した後の心の軽さがまるで違います。実際に相談をお受けする中で、この考え方を実践された方は皆さん「心が晴れた」とおっしゃいます。
「縁を還す」祈りの実践
具体的な祈り方をご紹介します。聖天様の御真言(ごしんごん)「オン・キリ・ギャク・ウン・ソワカ」を七回唱え、心の中でこのように念じます。
「聖天様、この御縁をお還しいたします。この方との御縁に感謝し、互いの道が光で満たされますよう、お導きください」
ポイントは「相手の不幸を願わない」ということ。「あの人がいなくなればいい」という気持ちで祈ると、それは縁を還す祈りではなく、自分をさらに苦しめることになります。縁を還す祈りは、あくまでも感謝と慈悲(じひ)の心で行うものです。
手放すべき縁を見極める三つの問いかけ
「手放すべき縁」と「大切にすべき縁」をどう見極めるか。聖天様の和合の教えに照らした三つの問いかけがあります。
一つ目は「その人と会った後、あなたの心は温かくなりますか、それとも冷たくなりますか」。二つ目は「その関係の中で、あなたは自分らしくいられますか、それとも自分を偽っていますか」。三つ目は「もし今日初めてその人と出会ったとしたら、あなたはその人と関係を結びたいと思いますか」。
特に三つ目の問いが重要です。過去の恩義や思い出を一度脇に置いて、「今のこの人」と「今の自分」だけで考えた時にどう感じるか。ここに答えが出ることが多いです。
手放した先に新しい御縁が待っている
「縁を手放したら、もう新しい御縁は来ないのでは」と不安に感じる方も多いです。しかし、聖天様は「障碍除去(しょうげじょじょ)」の神様でもあります。あなたの道を塞ぐものを取り除いてくださる力があるのです。
自分を消耗させる縁が道を塞いでいる間は、新しい御縁が入ってくる隙間がありません。古い縁を手放した方のところに、まるで待っていたかのように新しい御縁が巡ってくるケースを、相談の中で何度も目にしてきました。
縁を還した後にできた「空いた空間」を穏やかに過ごし、聖天様のお導きを信じて待つこと。焦って新しい関係を求めず、聖天様にお預けした方が、結果的にとても良いご縁に恵まれる傾向があります。
手放す勇気は、あなたを守る力
仏教には「自利利他(じりりた)」という教えがあります。自分を利すことが他者を利すことにもつながるという考え方です。自分が壊れてしまっては、誰も幸せにすることはできません。
あなたが健やかでいることは、聖天様が喜ばれることです。自分を犠牲にして苦しみ続けることを、聖天様は望んでおられません。手放すことは弱さではなく、自分の道を選ぶ勇気ある行為です。
もし今日のお話を読んで「自分も相談してみたい」「聖天様の力をお借りしたい」とお感じになった方は、どうぞお気軽に無料相談をご利用ください。お一人で抱え込まなくて大丈夫です。
また、聖天様に直接お願いしたいという方のために、各種御祈祷もご用意しています。ご縁があればお申し込みください。
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