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方便とは?

瑞鳳天祥様
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執筆者:瑞鳳天祥

お話の前にちょっと一手間お願い致します。

慣用句では、「嘘も方便」と謂う言葉も御座いますが

辞書で【方便(ほうべん)】を検索して下さい・・・

意味が分かりましたか?

では、お話に入りましょう

方便とは、元々仏教用語で即ち嘘を意味する言葉で御座います。

お釈迦樣は、嘘は、罪と説かれ戒の中でも不妄語(嘘をついては、為らない)と説かれて居りますが

お釈迦樣は、多数の方便を以て教えを説かれて居ります。

では、お釈迦樣は、嘘つきで戒は、矛盾なのでしょうか?

いえいえそれは、全くの誤解で御座いまして其れには、きちんとした理由が御座います。

時代背景には、現在の様に学校は、もとよりカーストの影響で文字や学問に於いても一部の神職や位の高い人のみが学べるものでしたし一般大衆からすると遥かに崇高且つ難解な内容で御座いまして況して当時のカースト制度やバラモンの教えを根底から覆す内容で御座いましたから余計に難しい内容で御座います。

故に読み書きが出来なかったり皆様と違い学術的な知識が無い人が殆どで御座いますから比喩を理解出来ない方が多数居られた為で御座います。

又、もう一つは、人の心に理由が御座いまして。

【法華経方便品第二】の一節を引用致しますが内容的には、以下のように説かれて居ます。

汝等が財寶の在処を知りガイド雇い其の導きに依り財寳を探す旅に出たとしよう・・・。

その道程は、果てしなく苦難に満ちたもので汝等は、身も心も疲れ果て脱落者や案内に疑いや愚痴や不平不満を云う者も出るだろう・・・。

其処で旅をよく知るガイドは、汝等を憐んで思案し神力を用いて其の永き旅の途中に於いて御殿を顕し其処で旅人を休ませ豪勢な食事を出し皆を持て成した。

そして皆の疲れが癒え再び歩み始める時にその御殿を霧の如く消し去り皆に此の様に告げた「全ての御殿は、幻影ですがもうすぐ其処に目指す寶は、有りますから頑張りましょう」と皆を励まし脱落者一人も無く寶に辿り着く事が出来た。

汝等に言って置く、即ち方便とは、其の神力で顕した御殿で有り

未だ迷える衆生を憐れむが故に一時の安息の場を与え其の先に有る本当の寳を得る為に顕した幻影に過ぎず

真の寳は、其の先にぞ在る故に方便に安住する事無く統べからく精進を重ね大悟へと至るべし

確かに先が見えず長い道程では、愚僧もそうですが諦めや愚痴や疑いを持つもので御座います。

故に方便を用いて其の目的地へと引導するのです。

話は、戻りますが愚僧を含めて貴方は、果たして方便を使いこなせるでしょうか?

其れは、恐らく無理かと存じます。

何故なら其処までの智恵は、持ち合わせて居りませんし又、実際に現実と等しい幻影は、造り出せませんからね・・・。

嘘は、口が虚しいと書きますが嘘を吐くと謂う事は、更なる嘘を重ね口だけでは、無く心まで虚しく為ります。

ですから嘘は、勿論いけませんし方便も使うべきでは、無いのかも知れませんね

何故なら其の嘘が露見した時に相手に恨まれたり深い傷を残し争いに成るかも知れませんし何より自身の心が虚しい儘其の後悔が残ります。

ですから用いるのは、方便では、無く比喩や喩えを用いて諭す事が肝要で御座います。

何故なら現代に於いては、相応の知識も求めれば幾らでも得られる訳ですし相手に応じた話方や喩えを用いるだけで充分理解出来るからです。

故に皆様に置かれましては、方便や嘘を用いる事無く実を以て精進を重ねられて下さい…。

天祥 九拝

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